周南市美術博物館では平成7年の開館以来地域ゆかりの作品や資料を中心に収集、整理し、研究、展示活動を行ってまいりました。収集された作品および資料は美術、写真、歴史の各部門にわたっていますが、美術部門の中心をなすのが画家宮崎進のコレクションです。
大正11年、徳山市御弓町に生まれた宮崎は、日本美術学校に学びますが、昭和17年応召、さらに4年にわたるシベリア抑留を経て、昭和24年に帰国の後、画家として活躍を開始し、昭和42年には〈見世物芸人〉で第10回安井曾太郎記念賞を受賞します。「旅芸人シリーズ」や「シベリアシリーズ」で広く知られるその作品は人間の存在や記憶について一貫して芸術作品を制作することによって考えつづけるもので、絵画の可能性を極限にまで鍛え直す姿勢は、戦後日本美術において希有であるといえます。
当館では、その初期の作品から平面、立体、水彩、素描、版画など多岐にわたって、宮崎作品を収集してまいりました。
近年宮崎進は、力強い生き物としての人間と、そこから滲み出る物を捉えるために、ドンゴロスを使った作品群を手がけています。生死をかけた戦争や抑留の体験を描くには、従来の表現を超える「何か」が要請されます。宮崎はこの「何か」を求めて衝き動かされるように長い歳月を歩んできました。
周南市美術博物館は宮崎進の作品や言葉が訴えるものを、より多くの人々に伝えることに務めていかなければならないと考えています。